このサイトにはPRが含まれています

シングルマザー看護師の上京をサポートした話【まさかの結末】

神谷サエコ(28歳・看護師)

こんにちわ。
ご無沙汰しております。

最近、色々とおめでたいことがあり、記事を書くことにした。
(本人達には了承済み)


え!?加藤さんシンママだったの?

今回の主役である加藤さんと出会ったのは8年ほど前。
ネットゲームの中だった。

当時、10名ほどのギルド(サークルみたいなもの)で、毎日のように一緒に冒険していた。
ギルドメンバーは仲が良く、リアルでオフ会をしたりもあった。

加藤さんと私は、相性が良かったのか、特に仲が良かった。
ただ加藤さんは地方出身のため、東京でのオフ会に一度も参加していない。
メールアドレスを交換するくらいの、ゲームの中だけの関係だった。

そんな楽しい日々だったが、ゲーム自体が廃れ、サービス終了。
ギルドも解散した。

加藤さんとはそれっきりだった。

で。
その加藤さんからある日突然メールが来た。
相談があると言う

何の相談だろうか?

そもそも私は加藤さんのリアルについてほとんど何も知らなかった。
筋肉マッチョキャラを使い、敵の攻撃からギルドメンバーを守る盾という役で、「俺の仲間に手を出すな!!!」という臭いセリフを言い、困ったときには駆けつけてくれ、誠実で面白い人けど、ゲームはチョット下手、という愛されキャラといったイメージだけ。

その加藤さんが私にいったい何を・・・


8年前には無かったラインを交換し、恐る恐るテレビ電話をした。

予想外にも加藤さんは女性だった。
しかも美人でちょこんとした可愛らしい方。
ムキムキマッチョキャラとはまったくの真逆。

これがネナベなのか・・・
そんな私も腐女子特有のイケメンキャラを使ってはいたが・・・。
まあこの界隈ではよくある話。
深追いはお互いの傷口を広げるだけ。


「こんばんわ。すみません突然」
「いえいえご無沙汰しております」

初対面特有のぎこちなさは無く、すぐに打ち解けられた。
私はSNSの付き合いからリアルに発展するのに慣れていたし、加藤さんはゲーム内と同じようにフレンドリーで、ゲームの昔話に花が咲いた。

「ごめんね―びっくりしたよね。実は相談があって」

打ち解けてきた頃、加藤さんが切り出した。
画面の向こうで美人のお姉さんがモジモジしている。
なかなか言いにくそうだ。

昔からの付き合いではあるが、ネット上の関係だし、本当にご無沙汰だったし、初めて顔を見たわけだし、まあ遠慮はあるだろう。
顔を赤らめている姿は、ゲーム内でいつも先陣を切って敵に突進していたあのムキムキキャラを思い出すと、何とも言えない面白さがあった
しかも加藤さんは、なぜか「金閣寺!」とデカデカと書かれた外国人向けのようなTシャツを着ており、ツッコミどころ満載過ぎて、もっとまともな服装は無かったのだろうかと、顔とのギャップがさらに面白さを誘う。

しばしの沈黙が流れる。

何の相談だろうか?
お金を貸せというのだろうか?
それとも男の話だろうか?

「実は上京しようと思っていまして」

「ほう」

「今、島根で看護師をしているのですが」

「えー!!!!看護師!!!?私も看護師なんですよw」

「えーーー!!!!w」


まさかである。
ゲーム内ではリアルの話をほとんどしなかったし、オフ会で会ったこともなかった。
お互いが看護師だとは知る由もない。

話はさらに盛り上がり、夜も更けていったが、加藤さんの相談を要約するとこうだ。

・3年前に離婚した
・そのまま身寄りのない島根で暮らしている
・中学生の息子がいる
・高校受験を機に、上京したい

島根はかなりの田舎らしく、給料もかなり低いらしい。
それでも看護師なら仕事はあるが、息子さんの大学進学も考え、上京したいのだそうだ。

「なるほどです」


・・・

カラッと晴れた2月の羽田空港。

大きな荷物を抱えた加藤さんと息子さんが出てきた。
ラインで見た通り、加藤さんは小柄な美人だったが、息子さんは中学生にして180センチを超える巨児だった。

「今日は金閣寺じゃないんですね」
「ちょっとーー!やめてくださいよー!」

そんな軽口を叩きながら、車に荷物を詰め込んだ。
車の中では、東京の名所を見ながら加藤さん一家が歓声を上げていた。

「がいな~(びっくりという方言)」
「本当に東京で暮らすんがな」

加藤さん達の目はキラキラと輝いていた。


破格の待遇(色んな意味で)

やがて車は都心から少し離れた新居に到着した。
病院の敷地内にあるファミリー寮だ。

そこには当時のギルドメンバーが集まっていた。

実はギルド解散後も、東京メンバーだけは定期的に連絡を取り合っていた。
年に何回かは飲みに行ったりする間柄だった。

加藤さんが上京することを伝えると、6人ものメンバーが駆けつけてくれた。
1人は昔を懐かしみ、ワザワザ愛知県から来てくれた。

加藤さんが女性というのは伝えてあったが、あのムキムキマッチョがまさかの美人ママさんということもあり、皆一様に驚いていた。
(1名の男に関しては、この時下心あり。詳しくは後記)

次々に届く引越しの段ボールや家具家電を運び込んだ。
部屋を軽くかたづけ、掃除。

ひと段落着いたところでピザを頼んだ。
話しは大いに盛り上がった。
さらには仕事を終えたメンバーが次々に集まり、そのたびに酒とつまみが増え、盛大な加藤家の上京祝いとなった。
ギルド結成以来、何度かオフ会や飲み会をやってきたが、ここまで人数が集まったのは初めてだった。

「いやー。ほんとこの感じ。あの当時を思い出すよ」
「でも縁ってすごいよね。ゲームで知り合って、集まって、盛り上がって、上京までお手伝いしちゃうんだから」

メンバーの誰かがしみじみと言った。

私のほかにもメンバーの中に看護師(男性、以下A氏)がいて、2人で転職先の病院を色々と調べた。
ただシングルマザーかつ、上京かつ、できれば寮付きということもあり、最終的には私が利用した経験のある転職エージェントに頼んだ。

結果として、上京費用をフルサポート(約40万円)、ファミリータイプの寮付(月額3万円)、給料も年収320万円→500万円と破格の待遇の病院が見つかった。
面接も地方の支店と病院をテレビ電話でつないでやってくれたらしい。


・・・


宴がそろそろお開きという頃。

「本当にありがとうございました」

加藤さんが改まって言ってきた。

「いえいえ。私なんかほとんど何もしてないですし」

実際、転職エージェントがほとんど動いてくれたので、私はほぼ何もしていないw


まさかのその後

あれから1年。
加藤さんは職場にもなじめ、息子さんも高校に通い出し、東京の暮らしにも慣れてきたようだった。


しかし話は終わらない。
なんと先月加藤さんが再婚した。

相手はまさかのA氏。

まさに美女と野獣。
加藤さんならシングルマザーと言えども、よりどりみどりだろうと不謹慎にも思ったが、お互いバツイチ同士ということもありスムーズに話が進んだようだ。
A氏いわく「会った瞬間にビビビっときた!」とのことで、「お前はいつの時代の松田聖子だよ!」と総ツッコミを受けていたが、ずっと下心は持っていたようだ。

そして身内だけの結婚式を開き、2次会ではギルドメンバーを中心に大いに盛り上がった(暴れまわった)

今は亡き例のムキムキキャラがプロジェクターで映し出されると、加藤さんの顔はあっという間に真っ赤になった。
でもそれ以上に息子さんの顔が真っ赤だったw

ちなみに過去のA氏は、まさかの美少女キャラを使っており、それもプロジェクターで晒されるという、この界隈では地獄のような時間が流れたw


この2人は色んな意味で美女と野獣夫婦である。

お幸せに!!!!!